Catallaxy Blog

『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』を読んでみた。

2019/01/15
こんにちは。
いつもお世話になっております。
Catallaxy編集部です。

今日は、以下の本の「読書感想文」を投稿してみたいと思います。
若い頃はあまり興味を持てなかった「読書感想文」ですが、大人になるとその大切さに気づきますね。

今回は、もはや古典といっても過言ではないクリス・アンダーソン『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』の「読書感想文」をお届けします。

あたらしいモノ作りの時代が来た


あたらしい、モノ作りの時代がどうやら来たらしい。僕らはみんな「作り手(メイカーズ)」だ、とアンダーソンは言う。

人間は産まれながらのメイカーズで、もの作りへの愛情は、多くの人々の趣味や情熱の中に生きている。それは、工房やガレージやおたくの部屋の中だけのことではない。料理が大好きな人は、キッチン『メイカー』で、オーブンがその工房だ。植物が好きな人は、ガーデン『メイカー』だ。編み物、裁縫、スクラップブック作り、ビーズ編み、クロスステッチーーどれも、もの作り(メイキング)だ。(p.21)


私たちは、手を動かしてモノを作ることの喜びを(そして時にその上手くいかなさを)たしかに知っている。レゴブロックで犬小屋を作ったこと(そしてそこに肝心の犬が入るスペースはなかったこと)、はじめてコンパスでそうっと円を描いて、それをハサミで切ったこと。母が剥いたりんごの皮を、ナイフで切り刻んでみたこと(そして怒られたこと)、桜の花びらをあつめて、えのぐを溶かしたピンクの色水の器に浮かべたこと。

ウェブがモノ作りを変えた



自分で楽しんだり、あるいは作ったモノを誰かにプレゼントしたりもする。喜ばれて、自信をつけて、また作ってもしかするとモノ作りを仕事にする人だっている。
そして、今こそモノ作りのムーブメントが起きようとしている。いやもう起きているとアンダーソンは言う。

ウェブ時代のもっとも根本的な変化のひとつは、オンラインでの共有がデフォルトとして定着したことだ。(…)オンラインで共有されたプロジェクトは、他者のひらめきとなり、コラボレーションのきっかけとなる。一人ひとりの作り手(メイカーズ)が世界中でつながったとき、ムーブメントが生まれる。(p.21)


そう、ここはインターネットの世界。私たちはいつだって、自分の作品を、そのアイデアを、オンラインで共有し、欲しいと名乗り出た人に売ることも、そして自分が欲しいモノも、自由に探すことができる。ハンドメイド作品がネットフリマで手軽にやりとりできることも、知っている。いつでもデスクトップから、世界につながることができる。それが工場を持たずとも、あたらしいメイカーズになれる、ゆえんである。そしてこれは個人の話のみならず、中小企業にとっても、同じことが言えるだろう。

もちろん、これまでの大企業の大量生産による製品がなくなるわけではない。「新しい時代とは、大ヒット作がなくなる時代ではなく、大ヒット作による独占が終わる時代」(p.291)なのだ。つまりそれはひとつの大手企業が企画、そして工場で大量生産しつづける、という時代ではなくなったということ。

本当にモノを作るということはどういうことか



たしかに近代にはじまった産業革命がこの社会にもたらした恩恵を、私たちは無意識に享受して、しかしどうしてか同時に今、こんなにも寂しい。いっぽうその寂しさをよそに、たとえばiPhoneは進化し続けている。その姿と内容を少しずつ変えながら、今はiPhone10が世には出ている。毎回新しいそれが発売されるたび、ショップの前には多くの人が列をつくる。けれどはじめて手にしたiPhone4との違いが、そしてそのアップデートされた新機種の魅力が私にはあまりピンとこない。

何度目かの機種変更を経たiPhone7を握りしめて、Googleマップを開きながらはじめての場所を目指していたとき、足元から雨が浸水してきて長靴を履いてくればよかったな、と後悔する。私たちはいつまでもこんなに簡単に雨に濡れる靴を履いて、そして高性能な電子機器を手にしている。その落差になんだかくらくらする。

より多くの人が、より多くの場所で、より多くの小さなニッチに注目し、より多くのイノベーションを起こす。そんな新製品ー目の肥えた消費者のために数千個単位で作られるニッチな商品ーは、集合として工業経済を根本から変える。(…)ようこそ、モノのロングテールへ。(p.291)


これからは、私たちがほんとうに作りたかったもの、私たちがほんとうに欲しかったもの、よりニッチな、よりコアなモノ作りを私たちは望むことができる。3Dプリンタを使って、レーザープリンタを使って、そしてそれを自分のデスクトップでーー。資金調達の面ではクラウドファンディングを使うこともできる。アンダーソン氏に勇気づけられて、たとえば私は雨に濡れない高性能なあたらしい時代の靴を作れるだろうか。

自らの手で


豊かさ、とはかつてはモノを欲する/そして手にするその循環のことを言った。この資本主義のどん詰まりの今、大量生産大量消費に飽きた私たちの目はまたきっと輝き出す。私とあなたのやりとりが、いつでもここから始まるのだ。私たちは、作り手のことが本当はずっと知りたかったのかもしれない。あなたのアイデアに、そして新しくあなたに出会いたいと思うとき、可能性、という言葉がゆっくりとこちらにやってくる。

あらゆることが、自分がやりたいと思ったことが自分の手で、手を離れずに作れる時代。あたらしい時代の、あたらしいものづくりの時代。僕らはみんな、発明家。そして企業家なのだ。なんだかちょっと、胸が熱くなる。